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2018年9月20日木曜日

ルネサンス時代からバロック時代、、、サウンドがどのように変化したか?(1)

ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ (ca.1525~94)はイタリア・パレストリーナ出身、後期ルネサンスを代表する音楽家です。ルネサンス期のイタリアは、殆どフランドル地方出身の音楽家を雇うのが常で、ローマ教皇庁の音楽隊にもフランドルの音楽家を招くという状態であったのですが、パレストリーナは最初のイタリア人音楽家として大きな名声を得た人物です。((Wikipedia; パレストリーナ)

パレストリーナの音楽は声楽ボリフォニーの究極のかたちで、順次進行を主体とした簡素・平穏・緻密なア・カペッラの書法です。後に「パレストリーナ様式」と呼ばれ、18世紀の音楽理論家で、当時やそれ以後の作曲家たちがこぞって勉強したヨハン・ヨーゼフ・フックス (1660-1741)の教則本た厳格対位法の模範であるとされています。

その1曲を聴いてみましょう。
穏やかな旋律の流れに、美しい多声の響き。。。
心が癒されるようです。

Palestrina - Sicut cervus - The Cambridge Singers

 


この曲をローマ・バチカンで歌われている様子を見てみましょう。
実際、礼拝で使われる時はこんな雰囲気なのでしょう。
響き合う声が天上から降り注いでくるように神々しく、まるで地上のものとは思えない。。魂が救われるように感じるし、非常にありがたく感じてしまいます。


さて、この曲は一体どういう歌詞なのでしょうか?
以下がこの曲の歌詞です。

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Psalm 42 (詩篇42)
Sicut cervus desiderat ad fontes aquarum, ita desiderat anima mea ad te, Deus.
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Like as the hart desireth the water-brooks: so longeth my soul after thee, O God.

(涸れた谷に鹿が水を求めるように、神よ、私の魂はあなたを求める)
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しかし、この歌詞を見ると、、、
この詩篇をどう読み解くかにもよるかも知れませんが、この歌詞には「魂の渇望、神に対する渇望感」みたいな意味をあるのではないか? この音楽は、この歌詞の意味を伝える役目を果たしているだろうか。。。

ここに、16世紀後半の後期ルネサンスから初期バロック時代のフィレンツェに登場する、人文主義者、詩人、音楽家、その他の知識人たちで作られた、古代ギリシャやローマを規範とするサークル、カメラータの人たちには納得いかず、古代音楽のスタイル、キタラ伴奏付き独唱歌であるギリシアの「モノディ」の模倣が試みられました。

このルネサンス後期の音楽的特色と新しいスタイル、モノディーを非常にわかりやすく、面白く解説してくれているビデオを見つけたので、シェアします。こんなのが作れるなんてすごい!これを大学院生時代に見たかった!(但し、英語です。。)


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